すでに出会っていたRitzwell

福岡県大川市は飛騨と並ぶ家具の一大産地。筑後川の河口に近く、古くから日田で切り出された木材の集積地として船大工が集まり、次第に指物(さしもの)の製造も盛んになった地域だ。そんな家具の町のオーナー様を、訪問メンテナンスと合わせてお話を伺いに訪ねた。
Ritzwellとは一体どんな出会いだったのだろうか。

旦那様:「10年以上前、RVサイドテーブルの中古品に巡り合いました。それが最初のRitzwellの家具です。デザインを気に入って購入したんです。Ritzwellと知らずに(笑)」。

A様邸の母屋があった場所には元々ご両親が暮らしていた。それから数年後お父様が亡くなられ、人を招き入れる場所にするためにリフォームすることになったそうだ。

デザインに惹かれて購入された最初のRitzwell(RVサイドテーブル)

奥様:「取り急ぎ応接間を仕立てるためにリフォームしながら、家具を探し始めたんです。インテリアコーディネーターの方に、福岡にRitzwellという洗練された家具ブランドがありますよ、と紹介されたのがRitzwellを知ったきっかけです。それで公式のHPも見るようになり、益々好きになっていきましたが…」。

旦那様:「そう、すでに家にあったRVサイドテーブルがRitzwellだった(笑)。びっくりしました。不思議なご縁を感じました」。

その後、母屋が老朽化したこともあり、2021年に新築に建替えをすることになる。多忙な旦那様に代わり奥様主導で家づくり計画が進んで行った。

奥様:「以前の家は冬寒く夏暑かったため、性能を重視しました。コロナ禍だったこともありYouTubeや本で住宅のことを色々調べて、高気密・高断熱住宅の第一人者の方のYouTubeチャンネルから、九州にある住宅メーカーに辿り着きました。その会社の社長さんも誠実そうな印象でしたのでお願いすることにしました。ただ、それまでRitzwellの家具はウォールナットやダーク系で揃えていたので、内装が明るくなると家具とのコーディネートがまとまるのかが少し心配でした」。

MO TABLEは内装の雰囲気に合わせナラ材のオイルフィニッシュ(WH)を選んだ。数カ所あったシミや焦げ跡も今回の訪問メンテナンスでリフレッシュ

実は新築後にA様が購入されたRitzwellの家具は、ダイニングのMOテーブルとMARCEL(マルセル)チェア、それとBLAVA(ブラヴァ)のオットマンのみ。それ以外のGRAND LEEWISE(グランドリーワイズ)ソファ、BLAVA(ブラヴァ)イージーチェアなどは、以前からコツコツと集められたものだ。

GRAND LEEWISE(グランドリーワイズ)ソファ。2017年にモデルチェンジをし、現在は「LEEWISE EXCLUSIVE」になっている

旦那様:「以前から家具は好きでしたけど、それほどこだわりはありませんでした。家具の街に生まれ育ったのに(笑)。それがRitzwellに出会ってからは一変しました。何か家具を探す時にはまずRitzwellで検討します。今ではほとんどの家具がRitzwellです。他の家具との調和も取りやすいと思います」。

お酒は飲めなかったという旦那様は、お父様の形見のウィスキーを飲んでみたら美味しく感じ、それ以来コレクションをするほどに。一時は600種類もあったそうだ

奥様:「元々ダークな色の家具が好きで集めていましたが、家の雰囲気に合わせ、ダイニングテーブルはナラ材のオイルフィニッシュを選びました。飾り棚は大工さんが作ってくれましたが、カウンターは木材を購入し主人がDIYしたんですよ。天板の節(ふし)にはレジンを流し込んだり削ったりして」。

一度ファブリックの交換を経たBLAVA(ブラヴァ)イージーチェア。木部もとてもきれいな状態に保たれている

調和する家具

A様邸はオーディオ機器や書籍やレコード、そしてウィスキーのコレクションなど、趣味のアイテムが多く、Ritzwellの家具と共に暮らすことを前提に、調和する家づくりを目指された。家具を基点に設計が始まったと言ってもいい。

旦那様:「Ritzwellのすごいところは、木質感が溢れるインテリアでも、障子や和のテイストとも調和するところですね。手持ちのRitzwellの家具を全部採寸して、設計士さんに家具たちに合う設計をお願いしました」。

奥様:「内装の色味が明るめになりましたが、Ritzwellの家具たちを入れてみたら良いアクセントになり安心しました。改めて、家具の力はすごいなと思います」。

旦那様は学生時代からの仲間とバンドを組んでおり、時々ここで練習もするそうだ。「天井が高いので音響が良いねと言われます」。電子ピアノの丸椅子も実はRitzwellのLUCCA(ルッカ)スツール(廃盤)

A様邸のBLAVAハイバックチェアは初期型。上部のクッションを固定するベルトがやや外れやすかったためクリップで留めていたそうだ。

旦那様:「福岡のショールームを訪れた際、そのことを相談したところ、部分的に改修していただきました。10年以上前のものでも、対応していただけてとても嬉しかったです。改良された新しいモデルも見せていただきました。そんなふうにRitzwellの家具は常にブラッシュアップされているんですね」。

ブラヴァシリーズは好評を得て長く販売されている。オーナー様からのフィードバックを受けながら改良を重ねている。 さらに2020年にはRitzwell owners clubを立ち上げ、長く使っていただくためのサポートやセミナーも開催し、オーナー様同士の繋がりを作るお手伝いと、オーナー様がどのように家具を使い、どのような困りごとを抱えているか、それを知る機会にしている。このR’discoveryのインタビューもその一環だ。

オーナー様にお届けしているRitzwell owners clubの会報誌。A様も大切に保管されていた

旦那様:「オーナーズクラブができた時すぐに登録しました。送られてくる会報誌も楽しみにしています。役に立つ情報もあるし、オーナーさん達との連帯感も感じます」。

奥様:「ブラヴァ イージーチェアはファブリックを一度交換してもらいました。廃盤になっているファブリックだったけれど、近いものを選んでもらったりして。家具はそうそう買い換えるものではないですが、そうやって変える楽しみもありますね」。

目で触れながら

旦那様:「Ritzwellに惹かれる理由はデザインです。RVサイドテーブルを見つけた時、そのデザインに惹かれました。奇をてらわない洗練された雰囲気。スーッと引き込まれるような魅力があります。ずっと見ていたい(笑)」。

確かにA様邸の家具の配置は、見る(魅せる)ことを意識させる。目で触れながら使っていただいているのが分かる。

奥様:「福岡ショールームにMOテーブルを見に行った時、あわせて展示されていたネルソンランプが印象的で、和室に採用しました。やっぱりショールームに行くとコーディネートの参考になります」。

旦那様:「ダイニングテーブルは大人数に対応できるように、最初は長方形の大きいものを考えていましたが、でも普段はふたりだし、逆に寂しい感じになるかもねと、丸いMOテーブルにしました。円卓だとどこでも座れるし良いですね。家の設計図を持参して伺ったので、サイズ感をシミュレーションしてもらい直径1300mmにしました。北欧の家具との相性も良いです」。

奥様:「マルセルチェアの特徴的なカーブもお気に入りです。MOテーブルはナチュラルな色味で、部屋全体の中で良いアクセントになっていると思います。色・材質選びは難しかったですが、相談に乗ってもらいながら、自分たちで決めたことも楽しい思い出です」。

これだけ居場所の多いA様邸。お気に入りの場所はどこだろうか。

旦那様:「私はハイバックのブラヴァに座って、お酒を飲んだりレコードを聴いたりしています。ハイバックは最初妻が希望し、素材も絶対レザーが良いと選んだのですが、今は私がほぼ独占しています(笑)。オットマンを最近購入したので益々定位置になりそうです」。

旦那様の音楽好きはビートルズから始まった。「ロックやプログレッシブロックも聴きましたが、今はお酒を飲みながら聴くJazzがお気に入りです」

奥様:「私はソファでテレビを見たりスクリーンで映画を見たりする時がリラックスタイムです。主人が模様替えが好きなので、色々場所が変わって新鮮な気持ちで座るのも楽しいです」。

旦那様:「そう、夜中に急に家具の配置を換えたくなる衝動(笑)、ありますよね?子どもも巣立っていますし、夫婦二人暮らしなので、広いリビングで家具の配置換えをするのも楽しいです」。

10年前からすると、Ritzwellのラインナップもずいぶんと変化してきた。使い続けてこられたA様は、どんな印象をお持ちなのだろうか。

旦那様:「書斎に置いているお気に入りのデスクは、IBIZA FORTEシリーズなのですが、取材のお話をいただいた後、昔のカタログを引っ張り出して見ていたら、IBIZA FORTEシリーズも色々種類がありましたね。今も販売されているリビングテーブル。あの反りが特徴のデザインは衝撃的でした。今でも欲しいです」。

奥様:「リーワイズソファも少しデザインが変わりましたよね。格子のモチーフは同じですけど。部屋に入ってまず格子が見えるように配置していた時は、お客様にもよく“素敵ね”って褒められました」。

書斎でお使いのデスクはIBIZA FORTEシリーズのデスク(廃盤)。設計段階からここに納まることになっていたのでピッタリ。アームチェアは LUNETTA(ルネッタ)(廃盤)

愛情の掛け方

メンテナンスで気になることは?

奥様:「クッションに関しては天地替えはしています。ファブリックが汚れたらどうしたら良いですか?」。

田原:「ファブリックは水で湿らせた布で叩くように拭くか、もしくはドライクリーニングが良いです。自宅で洗うと縮んだりする場合もあるので注意が必要です。レザーの表面に埃が溜まると湿気の影響でカビが発生しやすくなるので、予防的にブラッシングするのも効果的です。私は毛足の長い馬毛ブラシを使っています」。

※ドライクリーニングについては、洗濯表示を確認して、クリーニング店にご相談ください。

旦那様:「ソファの横にあるサイドテーブル(GO TABLE)も中古品を探して購入したんですが、輪ジミがあって自分でサンドペーパーで削ってオイルを塗って使ってました。その後ブラヴァ ハイバックイージーチェアと一緒にオリジナルメンテナンスキットも購入したので、再度やり直しました。いかがですか?」。

田原:「大丈夫ですよ、綺麗にお使いです」。

Ritzwellの家具に出会って変化したこと、これからのRitzwellに期待することは?

旦那様:「いやもう、これまで通り良い家具を作り続けていただけたら、それで十分です(笑)。デザインも魅力的だし。使っていてリラックスできることが一番大きいです。ずっと座っていたい、ずっと家に居たいという気持ちになります」。

奥様:「家具によって家の雰囲気ががまるで変わると思いました。やっぱり家具選びは住む人、使う人の個性が表れますね」。


インタビューの最後に新しいRitzwellのカタログを差し上げると、たちまち家具談義が始まった。

旦那様:「ベアトリクスもカッコいいですよね。ショールームで見た時、買う寸前まで行きました。でも置き場所ないよねって(笑)。でもやっぱり良いですよね」。

奥様:「ダイアナソファも人気なんでしょ?結構インタビューにも出てきますよね。サイズ感が良さそう」。

旦那様:「これも欲しい!MTベンチ。この厚革の編み込みが…」。

奥様:「ベンチがあると便利よね。いろんなところに置けるし」。

旦那様:「家具選びは楽しいですね。こういうのを見るとまた色々欲しくなるから本当に危ない(笑)」。

奥様:「うん、危険(笑)。でも妄想だけなら」。

歴代のRitzwellの家具たちをコツコツと集めてこられたA様ご夫婦。愛情の掛け方、温度感がひときわ高い。
そして家づくりの際にも、家具たちは丁重に扱われ、家族のように入居し暮らしている。
なんと幸せな家具たちだろう。掛けられた愛情は返してゆきたい。そんな温度感を家具たちもまた発していた。

なんとなく、The Beatlesの『In My Life』が聴きたくなった。

A様ありがとうございました。

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