兵庫県南西部、岡山県との境にある赤穂市。赤穂義士伝を大切に伝える風情をまとった播州赤穂駅から南に車で15分ほど。播磨灘を望む高台、御崎という場所に『銀波荘』はある。

その名の通り、陽光に煌めく銀色の小波が水平線まで続いていた。その先に見えるのは香川県の小豆島だ。

赤穂温泉『絶景露天風呂の宿 銀波荘』 3代目社長、成世敏昭さんにお話を伺った。

導かれた出会い

「夕暮れが綺麗なんですよ。私も赤穂に生まれ長年この海を見てきましたが、いつも癒されています。銀波荘は祖父が創業しました。32歳までは大阪の関連会社の店舗運営に携わっていましたが、12年前に赤穂に戻ってきました」

赤穂は姫路からさらに足を延ばした位置にあるが、忠臣蔵・赤穂義士伝のファンも多く訪れる。銀波荘は景色と温泉は言わずもがな、冬は牡蠣も美味しい。

コロナ禍ではひと月に及ぶ休館も経験したが、働けることのありがたさを実感したスタッフ達はサービスへの熱意もさらに向上し、現在はインバウンド需要の割合も増加傾向だという。温泉と地域の食材を使ったこだわりの料理。さらにロビーと露天風呂付き特別室のリニューアルも相まってリピーターが増えたそうだ。

そしてRitzwellの家具との出会いには、ちょっとしたドラマがあった。

「2017年にロビーの全面改修を行いました。工事が進んでいた3月、私は輸入する牛肉選びのためにイタリアで牧場巡りをしていました。そして毎年4月にミラノで開催されるミラノサローネ(国際家具見本市)を、旅程の最後に見学できるように計画していました。ロビーに置く家具を自分で選びたかったのです。ロビーは完成間近だったので、もう家具を選ばないといけないタイミングでした。しかしスケジュールが押してしまい結局行けなかったんです。さらに帰りの飛行機がストライキで足止めされてしまい、空港で右往左往しました。日本人旅行者同士で協力し航空会社と交渉している時、とある日本人男性のKさんと出会ったんです。彼とは別の便で日本に帰りましたが、乗り継ぎの空港でまた出会い、成田に着いてからもまた再会したんです。彼は不動産関連の会社でディレクターをされている方で、ミラノサローネを見学し、写真もたくさん見せてもらいました。会話を重ねる中でなんだか感性が合う感じがして、実は家具を選ばないといけないのに、目処がたっておらず困っていることをお話したら、インテリアコーディネートしていただけることになったんです。1週間後には現場と図面を見てもらって、一緒に家具を探し始めたんです」。

その時出会ったKさんから紹介されたのがRitzwellだった。

「Kさんはインテリアの知見を多くお持ちで、私自身も大変勉強になりました。旅館は保守的な業界かもしれないけれど、伝統と新しいものを融合させたかったので、Ritzwellの海外ブランドにも引けを取らない洗練されたスタイルと、日本的な精神性も感じさせる世界観はまさにうってつけでした。もしも私がミラノサローネに辿り着けたとしたら、自分でRitzwellの家具に出会っていたのかも知れません。でもコーディネートなども含めてKさんに導いて頂いて感謝しています」。

空港でのストライキがなければ出会えなかったKさん。これは運命に導かれた出会いだ。

播磨灘に向かう特等席に置かれたBLAVA(ブラヴァ)イージーチェアと、LEEWISE EXCLUSIVE MODULAR SOFA(リーワイズ エクスクルーシブ モデュラーソファ)。ブルーグレーのファブリックで統一

優しさと滑らかさ

「リニューアル以来、ソファはロビーの顔になりました。お客様も座り心地、海を眺めながらゆったりとくつろげる雰囲気を楽しんでいらっしゃるご様子です。カバーは一度変えました。クッションも最初は柔らかめだったんですが、へたりにくい硬めに変更・調整してもらいました」。

当初のリーワイズ エクスクルーシブモデュラソファは、最上の座り心地のためにクッションにフェザーが入っているため柔らかく中身が動きやすかった。現在はお客様のご要望に合わせて硬さを選べるようにブラッシュアップしている。

和を感じさせるLEEWISE EXCLUSIVE MODULAR SOFA(リーワイズ エクスクルーシブ モデュラーソファ)。ホワイトアッシュ材(ナチュラルカラー)を選びロビー全体を重過ぎない雰囲気に

「おかげさまでお客様の反応は良いです。選んで間違いなかったと日々感じています。今もお世辞抜きでRitzwellの家具がベストチョイスだったと思っています。そして今も最初の印象が変わらないままです。繊細なのに普遍的な芯を感じさせるデザインです。イタリアのデザインエッセンスも入っているというのか、ショールームでBEATRIX ハイバックイージーチェアに座ってみた時に感じた、身体にピタッと沿うようなフィーリング。絶妙なクッション性。デザイン性の高い家具は世の中にたくさんありますが、見た目ほどクッション性が良いものは少ないと思います。Ritzwellの場合、デザイン性の高さと機能性のバランスが本当に素晴らしい。そして細部まで優しさと滑らかさがある」。

家具は道具であってアートではない。デザインを突き詰めていけば機能性に帰結するはず。

飽きのこないシンプルな美しさ。Ritzwellが目指すところはまさにそこだ。

そして家具は納品して終わりではなく、かけがえのない存在に育ててもらうために、その後のフォローアップも大切にしたい。

Ritzwell owners clubではオーナー様限定の、訪問メンテナンスサービスや張り替えキャンペーンを期間限定で行っている。またショールームでは日常のメンテナンス方法を実演で紹介するメンテナンスセミナーも随時開催している。

播磨灘に溶け込むような露天風呂の『天海の湯』。赤穂温泉の泉質は塩分やミネラル成分が豊富な療養泉
開口部からは空と海だけが見える露天風呂付客室501号室『青藍-SEIRAN-』には、ラウンジチェアのLOS(ロス)が置かれている。ベンチは造作でLOSとファブリックを揃えた設え。4ヶ月先まで予約で埋まる人気の1室

これからのRitzwellに期待することは?

「Ritzwellに出会ってから、家具選びにおいて他の選択肢を考える余地がなくなりました。信頼し満足しています。満足していますが、Ritzwellにはこれからももっともっと、こだわり抜いて欲しいです。それとオーナー同士、横の繋がりが持てると嬉しいので、オーナーズクラブにも入って、イベントにも参加したいですね」。

2022年秋にスタートしたR’DISCOVERYオーナーズインタビューも丸2年が経ちCASE #016を数える。オーナー様たちが何を求めて家具を選び、Ritzwellとどう暮らしているか。使い心地とこれからのRitzwellに期待すること、数多くのメッセージをいただき造詣を深めることができている。まさにRitzwellはオーナー様達に育てられている実感がある

小豆島まで続く銀波の煌めき。ぼんやり時間を忘れてしまう風景。チェックイン後、ソファに座ったお客様の視線は、海を眺めたままの方がほとんどのようだった

お話を伺っているうちに銀波荘はチェックインの時間を迎えていた。ご家族連れ、ご夫婦、女性グループ、海外からのお客様が続々と到着し賑わい始めた。私たちは帰り支度を整え今一度振り返る。

チェックインを済ませたほとんどのお客様が眺望に引き寄せられ、播磨灘に向かうソファに腰を下ろしていた。波間に真珠をばら撒いたような銀波に、人々の意識は奪われ、ソファに座っていることすら忘れているようだった。

人形浄瑠璃に例えるならさながら黒子だ。海の場面では黒衣ではなく青装束の浪衣(なみご)が使われるという。すなわちRitzwellの家具たちは銀波の舞台で介添えする浪衣ということになる。

なんとありがたい役目だろう。

ロビーには赤穂義士の衣装も

絶景露天風呂の宿 銀波荘

〒678-0215
兵庫県赤穂市御崎2-8
TEL.0791-45-3355

絶景露天風呂の宿 銀波荘 official site

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