傷や汚れ、染みや凹み。それらはすべて、家具に織り込まれた家族の記憶。
これまでのR’DISCOVERYで、Y様ご家族は最も長い期間お使いいただいたオーナー様だろう。2005年、新築する自宅に合わせて家具も新調することになったY様。ハウスメーカーのインテリアコーディネーターに勧められ、福岡市博多区板付のショールームへ一緒に訪れたのがRitzwellとの出会いだった。

新居と共に

「恥ずかしながらそれまで、Ritzewellの存在を全く知りませんでした。地元にこんな素敵な家具ブランドがあるんだって驚きました。板付遺跡のそばの、住宅街にある工場っぽい建物でしたが、中に入ったらすごくいい雰囲気でした。まず目についたのがラファエルソファ。アイボリー色が展示してありました。ファブリックも選べますよ、とスタッフの方に丁寧に説明していただいて、妻がグリーンを気に入ってソファはこれに決めました。だいぶ色褪せてしまいましたが。懐かしいです。昨日のことのように覚えています」。

新築時に合わせて購入されたラファエルソファ。Y様ご家族との思い出が染み込んでいる

「コートシリーズのベルト。あのデザインが良かった。ソファもコートシリーズにしようと思ったのですが、床とのクリアランスのことを妻が気にしていたし、ちょっと重かった。掃除の時、妻が一人で動かせそうにありませんでしたから」。

そのような経緯もあって、ダイニングのFVテーブルに合わせて、コートシリーズのダイニングチェア(現在は廃盤)を選ばれたY様。
無垢材のダイニングテーブルは購入時からずっと保護マットを使用していたが、お子様たちも成長したので今後は外して使いたいという。


Y様は、結婚当初から愛用している思い出深いラファエルソファとコートシリーズのチェアを、買い替えるのではなくメンテナンスをして使い続けたいと考えて、九州エリア限定で開催された『訪問オイルメンテナンス無料キャンペーン』に応募された。

「コートのダイニングチェアは編み状の座面のおかげか、長時間座っていても疲れないし、背もたれのカーブも身体に沿うようなデザインで、サイズ感も丁度良くて、軽くて使い勝手が良いんですよ。こういうシンプルで長く使えるものが良いですね。電動でリクライニングするようなソファもありますけど、ちょっと電子的なものが入るとそれだけ故障するリスクも高まるわけで、補修部品保管期間が過ぎれば、もう買い替えるしかない。永く使えることの方が本当はサステナブルだと思います」。

20年を共に

ラファエルソファはすでに廃盤になっているが、型は今も保管してあるので、張り替えやカバーの交換にも対応可能。中身のクッションの再生もできる
アヴィラAVボードは現在のJABARAシリーズにも繋がる意匠が特徴。当時から変わらないデザインフィロソフィーが感じられる

「蛇腹式の扉がスライドで開閉できるアヴィラ。男性はこういうギミックが好きですよね。まさに僕もそれでこれを選びました。当時プラズマテレビが出始めの頃で、カタログにこのアヴィラが載っていてびっくりした思い出があります。あ!Ritzwellだって」。

今では廃盤となった家具たちが、破損することなくY様ご家族と暮らしている。20年もの時間、家族の一員として歴史を刻んできた。Ritzwellは長く愛情を持って使っていただけるように、常に考えながら家具を作り続けているので、とても感慨深い光景だ。

「新築から20年。テーブルコンロも食洗機もエアコンもテレビも一度壊れてしまいましたが、家具だけは健在です。Ritzwellの家具は実用性と堅牢さがあって、長持ちするのだと思います。Ritzwellと出会えたことで、家具は単なる生活の道具ではなく、家族の思い出の一部となりました。これからも、愛着をもって大切に使い続けたいです」。

Ritzwell owners clubはオーナー様と繋がりを作っていこうと始めた。メンテナンスの正しいやり方は伝わりにくい。地道だが訪問オイルメンテナンスやセミナーをその機会にできればという想いもある。

「勝手なイメージですけど、メンテナンスパック付きで家具を販売するのはいかがですか?Ritzwellのオーナー様には、ご年配の方もいらっしゃるでしょうから、10年や5年に1回とか、有料でも訪問メンテナンスをして頂けると助かるオーナー様もいらっしゃるでしょうね」。

オイルメンテナンスを終えたダイニングテーブル。無垢の天板は20年経過しているとは思えないほど艶やか

「きれいになりましたね。子どもたちも、もうこぼしたりしなくなりましたから、これからは無垢の天板を楽しみます。ところで友人が言ってたのですが、コロナ禍で普及した消毒アルコールで家具を掃除したら、表面がカサカサになったそうです。アルコール系はいけませんよね?」。

田原「アルコール除菌は木部を乾燥させてしまうので注意が必要です。固く絞った布巾で拭くことをおすすめします。それから直射日光や過度の乾燥にもお気をつけください。日常的な振動からボルトも少し緩んでましたが、しっかり締め直しました」。

「これは2021年から送っていただいているRitzwellのニュースレターです。全部保存しています。紙媒体がどんどんデジタル媒体に取って代わられている時代に、印象的でした。メンテナンスについての記事も、イラストで解説してあるから温かみがあって、なんかこういうのいいなと思うんですね。便利だからといって何でもデジタル化するのはどうでしょうね」。

愛着が続く

結婚と家づくりが同時に始まったというY様。勢いで家具も揃え、2人のお子様にも恵まれ、楽しくも目まぐるしい生活の中で変化してきたものもある。

「若い時は車いじりが趣味みたいなものでしたが、今では公共交通機関で本読んだりする時間も、楽しめるようになってきました。年齢もあるのでしょうけど、Ritzwellの家具に出会えてなんだか少し、ものの見方、価値観も変わった気がします」。


Y様が今後最も解決したいのは、ソファのファブリックやチェア座面の汚れ。
Ritzwellでは『張り替えキャンペーン』(不定期開催)も行っている。ソファやチェアの張替え、中材の交換、スペアカバーの購入がお得になる。案内はオーナーズクラブからのメールマガジンで届く。色や素材を変えて、今までと雰囲気を変えるのはきっと楽しいだろう。

「家具ブランドのお店って、ちょっと敷居が高く感じたりしますが、Ritzwell福岡店はそんな感じではないところが好きなんです。気軽にお話してくれるスタッフさんもいるから、ちょっと行ってみようかなっていう気になります。Ritzwellもカフェとかやってくださいよ(笑)」。

こうしてオーナー様からのリアルな声を聞けるのもR’DISCOVERYのおかげ。CASE#022でようやく九州のオーナー様へのインタビューが叶った。そして、家族のように共に暮らしている家具たちにも再会することができた。

一番奥が旦那様、その隣がご長男。右奥に奥様と手前がご長女という定位置。お子様たちが彼氏彼女を連れて来る日が訪れるまでには、座面のベルトを張り替えたいそうだ

「今日メンテナンスをしていただいて、もう劇的にビフォーアフターです(笑)。改めてRitzwellのデザインって年数が経っても、古さを感じないと思いました。今、売り場にあっても違和感がない。それはすごいことだと思います。自動車だと20年前と今とでは、デザインも性能も全く別物ですからね。Ritzwellのデザインには普遍的なものを感じています。だから愛着が続くのかもしれないですね」。

毎回R’DISCOVERYの取材のご連絡を差し上げると、ほぼすべてのオーナー様が「うちで良いんですか?」と、おっしゃられる。しかし、お声がけする基準に、お使いになられている家具の数や年数は全く関係がない。オーナー様それぞれのストーリーと“愛着”の前に、誰がものさしをあてがえよう。
Ritzwellの家具を愛してやまないすべてのオーナー様に、感謝と畏敬を。

Y様、ありがとうございます。

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