家に帰りたくなる家具 | A様邸

もしかしたら、家具選びと登山と似ているかも知れない。理想の住環境へはもちろん平坦路ではなく、諦めたり妥協したりすれば、道はそこで終わる。

東京都港区にお住まいのA様ご夫婦は、実に3年という時間をかけて、一歩一歩確実に夫婦2人で登頂を遂げた。今回はご夫婦の新居であるマンションを訪ねた。

「ドラマチックなストーリーは、無かったと思いますよ」。旦那様の最初のひとこと

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旦那様:「規模の大きなマンションだったので、購入から引き渡しまで3年かかりました。おかげで内装や照明、家具選びの時間は充分にありました。Ritzwell東京ショールーム(南青山)に初めてお伺いしたのは2年くらい前です」。

それから、ほぼ毎週のように家具選びのためインテリアショップを回っていたというA様ご夫婦。旦那様は建築関係のお仕事なので、構造や設備の知識はあるが、ことインテリアに関してはゼロからの学びだった。

奥様:「私もインテリアや家具のことは詳しくありませんでした。でもインテリアショップを色々巡るうちに知識は増えましたね。時間だけはありましたから。最後の方では色々詳しくなり過ぎて、お店の方から“同業者の方ですか?”と言われたこともありました(笑)。材質のことなども結構質問したりして。Ritzwellへは飛び込みで入ったのに、すごく丁寧に相談を受けてくださったのが印象的でした」。

旦那様:「マンションの不動産屋さんから提携先の家具メーカーリストをいただいて、エリアごとにリストを色分けして効率よく回りました。確かラグとカーテンを見た後に近くまで来たので、という感じでRitzwellに寄らせてもらったよね」。

A様ご夫婦の求めるテイストはラグジュアリーモダン。ふたりの間でそれは一致していた。なにせ美術館デートを重ねて結婚に至ったほど趣味が合うふたり。いいと思う基準も重なり、家具選びで意見が合わないことはなかったそうだ

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LIGHT FIELD MODULAR SOFA(ライトフィールドモデュラーソファ)のクッションは、ラグマットのジェードグリーン(翡翠色)の近似色にコーディネート

旦那様:「極力LDは広めにゆったりした空間を作りたいという気持ちがあって、2人暮らしを最適にするために、間取りを2LDKから1LDKに変更しました。それに合わせてTVボードも自分で図面を引いて造作してもらいました。インテリアは色々なメーカーさんのカタログを見てお店に行って、イメージを固める作業の繰り返しでしたね。最初に決めたのは照明です」。

奥様:「そう、私がこの照明に一目惚れしてしまって、それが始まりです。そして照明の光が反射する少し箔入りのクロスを探して、それに合うベルベット調の光沢があるカーテンを選びました。日本のクロスはメンテナンス重視でそういうものが少なかったので、クロスとカーテンは海外のものを選びました」。

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衝撃的だった座り心地

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背面とサイドのレザーが特徴のLIGHT FIELD MODULAR SOFA(ライトフィールドモデュラーソファ)

旦那様:「それでいよいよソファ選びなんですが、色々なソファに座ってみたんですけど、Ritzwellのライトフィールドソファの座り心地が衝撃的でした。もう半端なくて、間違いなく別格でした。一体どうやったらこんなに気持ち良くなるのだろうって(笑)。多分奥行きのサイズ感も絶妙なんでしょうね。背面とサイドのレザーもかっこよくて、もうこれだ!と思いました」。

奥様:「ライトフィールドソファは主張がないわけではないけれど、日本的な奥ゆかしさを秘めたようなデザインで、スタイル的にはコーディネートしやすい印象でした。座り心地も主人とまったく同意見です。出会えた!という感じ。クッションのファブリックを選ぶだけでも2〜3時間、青山のショールームに居座ったこともありましたが、Ritzwellのスタッフの方は根気よくお付き合いしてくださいました(笑)。最終的にクッションの色は、ラグマットのジェードグリーン(翡翠色)の近似色に。主人がこの街といえばこの色だっていうもので(笑)」。

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旦那様:「そう、地下鉄のラインカラー。私の勝手なイメージです(笑)。ライトフィールドソファはサイズのバリエーションも豊富なので、マンションにも合わせやすく、分割できるので搬入もしやすかったです。国内メーカーだったことも安心感があり決め手になりました。海外のものだと納期や搬入コストも余計にかかるし、メンテナンス対応も数ヶ月後という話を聞くと不安になりますよね」。

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Ritzwellのファブリック・木部のサンプルも大切に保管されていた。おふたりにとって家具選びのすべてがかけがえのない思い出

奥様:「Ritzwell表参道ショップ&アトリエがオープンして、職人さんの仕事ぶりも間近で見学させていただいたりして、丁寧な作りは国内メーカーならではだなと思いました。何より職人さんの顔が見えるのは安心感がありました。それにデザインも国内メーカーなのにかっこいい!というのもポイントでした。ぱっと見イタリアブランドなのかな?と思いますよね」。

ありがたいお言葉。それにしても、旦那様のライトフィールドモデュラーソファの座り心地を絶賛する話ぶりが迫真だった。デザインと座り心地の良さを両立させることを主題にしているので、これは素直に嬉しい。

難航したダイニングセット

旦那様:「ソファに合うセンターテーブルとサイドテーブルも、Ritzwellのものもかっこよかったんですけど、天板は木製が多いじゃないですか。ここはかっちりしたものが合うだろうと、ガラスの天板のセンターテーブルとサイドテーブルを合わせました」。

奥様:「照明がスモークガラスの天板に映り込んだら綺麗だろうなと選びました。マンション購入時にコーディネートサービスもありましたけれど、コストコントロールも含めて自分たちで全てやって良かったと思います。コーディネートのことも色々勉強にもなりましたし」。

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ガラスの天板に照明が映り込むところまで想定して選んだセンターテーブル。美術展の図録はおふたりの初めてのデートからコレクションしている

旦那様:「そして最後の難関がダイニングセットでした。ダイニングテーブルは円卓にしたいと思っていて、理想は高さ72cmくらいで、4〜6人掛けることができるように1本脚で、天板は白大理石で、直径が120cmくらいの円卓。でもそれがなかなか無いんです」。

奥様:「海外のものは高さ75cmくらいのものがほとんどで、それに椅子の高さを合わせると私は足が床に付かなくなるんです。実はその時にすでに、ダイニングチェアはRitzwellのマルセルに決めていました。私は背もたれが硬い椅子だと背中が痛くなるので、マルセルの包み込まれるような背もたれに感動して、これにしたい!って決めていたんです」。

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奥様を虜にした弓なりにカーブするMARCEL(マルセル)の背もたれ
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ダイニングテーブルの型紙を作って床に置いた部屋の写真を撮り、MARCEL(マルセル)の椅子を合成した旦那様制作の合成イメージ

旦那様:「ダイニングチェアも本当に色々座ってみましたが、やっぱりマルセルが私たちの好みで、抜群に座り心地がよくて、だから椅子ありきのテーブル探しです(笑)。そして高さも72cmに収まるノル(Knoll)のダイニングテーブルを見つけて、天板のサイズに新聞紙の型紙を作ったりして、部屋に置いてスケール感を確認したり(笑)。色々やったなぁ」

奥様:「そしたら今度は、白大理石の天板に黒い脚も選べるけれど、納期は半年かかりますと言われました。でも白い脚だとマルセルの雰囲気に合わないから黒い脚を待つ?となり…」。

旦那様:「もう四角いテーブルでいいか?!と何度も思いましたよ(笑)。それに大理石でなければ、高さ72cmの円卓も何種類かはある。でも初志貫徹で白大理石の天板に黒い脚を半年待ちます!と(笑)。でも予定より早まりましたけど。そしてテーブルの黒い脚は艶あり塗装だったから、マルセルの木部も艶ありブラックを選びました。マットブラックもカッコよかったんですけどね。それにRitzwellは良い木材を使っていることは承知していましたので、木目が見えなくなるのは実にもったいないですけど、苦渋の選択で艶ありブラックにしました」。

奥様:「Ritzwellのショールームで2〜3時間検討していると、もうだんだん訳がわからなくなってきて(笑)。でも担当者さんも本当に根気よく色々提案してくれて。それで座面まで黒だとちょっとハードになりすぎるので、部屋全体のバランスを考えてチャコールブラウンに。私たちも最後まで全然妥協しなかったです」。

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テーブルの黒い脚部のカーブがMARCEL(マルセル)の曲線と呼応する。A様ご夫婦のセンスに感服

Ritzwellの家具をコアに

奥様:「それで今月やっと全てが揃いました。カタログサンプルや写真を持ち歩いて、各ショールームを巡った日々がようやく終わりました。実は取材のお話をいただいた時、まだテーブルはなかったんです。私が学生の頃から使っていたテーブルでした(笑)。今は充実感がありますが、家具選びの日々がすでに懐かしくもあります」。

旦那様:「使い心地、座り心地、Ritzwellには他のメーカーにはない雰囲気がありますね。あくまで主観ですが、座り心地が他を凌駕していて、プライオリティーを1番にさせるものがありました。Ritzwellのソファとチェアをコアにアッセンブルしようという、そういう思考に、途中から変わっていましたね。私たちにとって“家に帰りたくなる家具”です。本当に」。

嗚呼なんという褒め言葉だろう。MARCEL(マルセル)もLIGHT FIELD(ライトフィールド)モデュラーソファも、Ritzwellの代表宮本のデザインだ。そしてこれらの家具から海外のデザインアワードにも積極的にチャレンジを始めた起点にもなった。日本だけではなく、世界中の住宅にも合うものを目指し、持てる叡智と技でカタチにした渾身の家具であると言える。

道しるべとなる

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納品されて数ヶ月経ち、A様ご夫婦がRitzwellの家具を使ってみた印象、これからのRitzwellに期待することは何だろうか。

旦那様:「印象は、最初と全然変わらないです。今も日々衝撃です(笑)。そしてソファでよく寝ちゃってます」。

奥様:「いつの間にかふたりでL字になって寝ています。おそらくこれからソファを買い替えることはないだろうと思うので、クッションの裏表を定期的に入れ替えたり、日頃から丁寧に使うように心掛けています。今後に期待することは、もし私たちがショールームのない地方に住んでいたら、Ritzwellの家具に触れる機会はあったのかな、ということです」。

旦那様:「確かに。座り心地が決め手だったので、ショールームに行かないと分かりにくいよね。もし自分たちがRitzwellに出会えなかったとしたら、すごく残念です。ふたりとも地方出身なので想像しちゃったんです。そしてRitzwellオーナーになって今後のことを考えると、メンテナンスのサポート体制には期待しています」。

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おっしゃる通りメンテナンスやサポート体制は、今後も力を入れて行きたい領域。一歩一歩着実に拡充させてゆく所存だ。特にメンテナンスの説明は納入時に行っているけれど、いざ必要な時期(7〜10年後)になると忘れてしまうものだ。

すでにオーナーズデスク(フリーダイヤル)の設置。出張メンテナンスをトライアルでスタートさせた。メンテナンスの時間が楽しくなるような、オリジナルのWOOD CARE KITも販売している。

Ritzwellのオーナー様たちに、飽きが来ず使うほどに愛着が湧き、“愛着を記憶する家具”に育ててもらうために、私たちにできることはまだまだ多い。

“家に帰りたくなる家具”。これは時々反芻したくなる言葉だ。

これから家づくり・家具選びをお考えの皆様においても、大いに“道しるべ”となり得るお話だったのではないだろうか。

A様、楽しい時間をありがとうございました。

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