うれしい気持ちが基準 | N様邸 CASE #011
週末住宅のために
「田園調布駅の改札を出るとすぐ住宅街なので、“家に帰ってきた”と思える雰囲気が好きなんです」。そう語るN様。
窓の外にはテニスクラブのコートが広がり、桜の木も生い茂っているので、春は室内からお花見もできる。
この家はN様の妹家族が住んでいた家。今も三姉妹は近所に住んではいるのだが、この家はしばらく空家になっていた。
「隣の実家には両親が住んでいます。この家はしばらく使っていなかったし築年数もそこそこ経っていたのですが、建築条件的に立て直すのは難しく、リノベーションすることになりました。妹家族たちと両親と、みんなで使う週末住宅です。庭を見ながら朝食を取ったり、テニスの後にくつろいだりしています。家族も父もテニスをするんです。目の前がテニスクラブですから(笑)。この前は家族十数人で集まって父の日をお祝いしました」
いつも嬉しい気持ちに
大人数で集まることを想定して家具選びを行ったN様ご家族だが、ソファを置くつもりは最初からなかったそうだ。
「MOダイニングテーブルの優しい感じが気に入って、小さいサイズを2つ置くことも考えました。セパレートで使えると色々便利かなとも思ったんです。だけど最終的に家族みんなでショールームに行って、この一番長いタイプのMOダイニングテーブルに決めました。こういう大きなテーブルを選ぶ機会ってなかなかないので(笑)楽しかったです」。
N様ご家族皆様で、Ritzwell表参道SHOP&ATELIERにお越しになり選ばれたそうだ。 「みんなでいろんな椅子に座らせていただいて、ソファを置かない代わりに、くつろげるダイニングチェアとして選んだのがリヴァージュでした。背もたれが丸いマルセルと悩みましたけど、なめらかな触り心地の肘掛けがあるリヴァージュにしました。MOダイニングテーブルもリヴァージュもウォールナットの木の表情が素敵ですよね。家族みんな気に入っています」。
「そもそも自分たちに合う家具を見つけることは大変でしたけど、運よくMOダイニングテーブルに出会えて幸せです。色んな方向から見ても美しいし、木の感じがすごく好きです。ここに座るといつも嬉しい気持ちになります(笑)。家族以外のお客様がお見えになっても、“このテーブルなんか違うね?!”と驚かれます。MOダイニングテーブルとリヴァージュ(アームチェア)は、カジュアルになりすぎない柔らかさがあって、デザインだけでなく耐久性、機能性が両立できている感じが好きなんです」。
こだわりの茶室
「実は私、5年ほど前から茶道を始めていて、この家には本格的な茶室が欲しいなぁと思っていたんです。そうしたら父も作ろうと言ってくれて。それを聞いた庭師の方が“ぜひ自分に茶室をデザインさせて欲しい。洋と和を一体としたオブジェのような茶室を作ります!”とおっしゃっていただいたんです。どんな感じになるのかドキドキでしたけどお任せしたんです」。
実はご実家のお庭のデザイン・施工と維持管理を行うのは、世界的庭園デザイナーである石原和幸さん。チェルシーフラワーショーにて数々の賞を受賞し、エリザベス女王から“緑の魔術師”と称された方だ。
「今度(取材時)密着取材のTV番組が放送されるそうですよ。茶室にも並々ならないこだわりの意匠を随所に入れたので、職人さん達は大変だったと思います。リビングとの仕切り壁は左官仕上げで角を丸く面取りされています。丸窓に付けられた古い彫り物や引き戸は、石原さんが集めていた貴重な古材を使っています。職人さんも石原さんが信頼する長崎や福岡の方たちだそうです」。
「スツールは玄関や茶室、リビングでテニスを見たりする時に使ってます。軽いので持ち運びが楽ですよとお勧めされましたが、ほんとにその通りで、色んなところに出番があります。茶室って基本的に直線が多いですけど、スツールの反りが美しいのと、革素材が他にないのでそれもよく映えます」。
何かと便利なVINCENT STOOL。スツール類は使ってみて後から追加購入されるお客様も多い。
「そうなんです。両親が絵画が好きで集めているんですけど、飾らないでしまっているのはもったいないので、今度は地下室をギャラリーみたいにしようとしていて、美術館によくある四角い椅子みたいなものがいいかなぁと考えています。Ritzwellにも正方形のものがありましたよね?」
MO BRIDGE SQUARE BENCHですね。
製品のうしろ側
「ダイニングテーブルを探していた頃、色々なブランドも見に行ったし、オーダーも考えました。そんな時、とある雑誌でRitzwellのことを知りました。こんな素敵な家具メーカーがあるんだ。えっ日本製?と思ったのと同時に、工場(糸島シーサイドファクトリー)のことも書いてあって、ものづくりのストーリーにも感銘を受けました。作っている人たちの想いなどが垣間見えて、すごく素敵だなぁと思ったんです。職人さんたちの仕事ぶりや、製作環境のこと。製品のうしろ側まで見えた気がして、これだ!Ritzwellにしよう!って。工場のそばに海があるとか素敵ですよね」。
”美しいものは美しい環境からしか生まれない”という代表の信念があり、糸島シーサイドファクトリーは、技術だけではなく職人達の”感性”を育むため、2019年に糸島市に新設した。ファクトリー内にまで微かに届く波の音を聴きながら、職人達は常に品質の高い家具作りを目指している。
「そういうところで丁寧に作られている家具ってどんなものだろう?と興味が湧いてきて、初めて自分たちの家具を選ぶ“基準”が分かった気がしました」。
「ヨーロッパとかでは代々引き継いだアンティーク家具を修理しながら使い続ける慣習がありますよね。先日実家のドアが壊れたんですけど、昔のものだから材木は良いんです。でも修理するより集積材を構造に使った新しいドアに取り替える方がはるかに安いんですよ。それでもやっぱり修理することにしました。このままでは持続可能なものづくりとして、経済的にもちゃんと回っていかないと思います。日本の伝統技術や、文化、職人に対してのサポートが十分ではない気がします。安く買うと捨てるときに気持ちは楽かも知れないけれど、ものとの出会い方って大切だと思います。譲り受けた時の状況で大切に使いたい気持ちになったりしますよね」。
共感域で
「家具選び、何を基準に決めたらいいか最初は分からなかったけれど、Ritzwellは日本でデザインし日本で作っているメーカーであることを知って、なんだか嬉しかったんです。職人さんの環境までも整えながらやっているところは少ないと思うんですよね。それで迷いなくRitzwellを選ぶことができました。その後は他のブランドをまた見てみようとは思わなかったです。それに言葉にせずとも伝わる感じがあって。それは日本人によるデザインだからでしょうか」。
Ritzwellにしかない技術、特別な機能などはない。Ritzwellの代表である宮本はイタリアの家具工房で職人修行もした。その経験の中で日本人を意識せざるを得なかったものが、きっとデザインに滲み出ているのだろう。
「それで気がついたんです。私は作り手の顔やストーリーが見えるものが好きなんだと。野菜とかもそうですよね。安くてきれいなものをさっさと選べば良いんでしょうけど、生産者の想いとか顔を見ちゃうとそっちに惹かれます。ものを選ぶ基準って、私にとってそういうことなのかも知れません。Ritzwellにはこれからも日本のものづくりを牽引して欲しいです。本物の」。
MOダイニングテーブルの居心地の良さから随分と話が弾み、紅茶もおかわりし予定時間も過ぎてしまっていた。
「ほら、そうなんです!このテーブルに集まると、いつもこんな感じであっという間に時間が流れています(笑)」。
家具は一緒に暮らしてみないと本当の良さはわからない。オーナー様の声をいただいてフィードバックし、Ritzwellは日々ブラッシュアップしていきたいと思っている。愛着を持って長く使っていただくためにどうすれば良いか、どのような姿勢で取り組んでいれば選ばれる存在となり得るか。そのヒントをいただける機会がこのR’discoveryだ。
今回も“基準”という共感域でN様と楽しいひとときを過ごすことができた。 美味しい紅茶も、ごちそうさまでした。